田村取締役は数年にわたってオートバックスセブンの経営に携わってきましたが、就任当初と比べて取締役会の運営や議論などに変化を感じていますか。
就任して最初の2、3年は、取締役会やガバナンス委員会で業務執行の課題だけでなく、「企業統治のあり方はいかにあるべきか」ということを議論したのを覚えています。たとえば、役員の報酬・評価制度や取締役・上席執行役員の選任の仕組みなどは、当時集中的に議論しました。
昨今は、個別の国内戦略や海外戦略など、幅広い議論が展開されるようになってきています。フレームとしてのガバナンス体制が構築され、社外取締役も徐々に“中身の議論”に集中できるようになっていると思います。
日本企業のコーポレート・ガバナンスの現況を踏まえて、当社はガバナンス上の課題やさらに改善が望まれるような事項はありますか。
当社のガバナンス体制は、現在も社外取締役が株主や証券市場の立場で有意義な意見を交換するための仕組みと現場の雰囲気の両方が備わっています。
課題をあげるとすれば、「多様性への対応」でしょうか。たとえば女性ドライバーが増えていることを考えれば、当社でも将来的には女性の経営幹部を登用するということを検討してもいいかもしれません。
プロフィール
1961年 4月 | 日本銀行 入行 |
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1986年 5月 | 同行 欧州代表 |
1992年 2月 | 同行 理事 |
1996年 4月 | A.T. カーニー株式会社 会長 |
1996年 6月 | Foreign and Colonial Pacific Investment Fund, Adviser to the Board |
1999年 4月 | 社団法人経済同友会 幹事 |
1999年 6月 | オリックス株式会社 社外取締役 |
2000年 6月 | スルガ銀行株式会社 社外取締役 |
2002年 5月 | 株式会社グローバル経営研究所代表取締役(現任) 公益社団法人日本経済研究センター監事(現任) |
2002年 6月 | 日本テレコム株式会社 社外取締役 |
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2003年 3月 | 特定非営利活動法人日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク代表理事(現任) |
2003年 6月 | 株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズ 社外取締役 |
2004年10月 | 株式会社カネボウ化粧品 社外取締役 |
2006年 6月 | サンデン株式会社 社外取締役 |
2008年 6月 | 当社 社外取締役(現任) |
2009年 6月 | 日本興亜損害保険株式会社社外取締役 |
2010年 6月 | 株式会社新生銀行 社外監査役 |
社外取締役という立場から、「2014中期経営計画」を進めていく上で、当社の“課題”は何だと思いますか。
「2014中期経営計画」では、当社が持続的で安定的な成長によって企業価値の拡大を図るための意欲的な戦略が掲げられています。この実現に向けて、すでに既存事業の収益拡大と新規事業の育成のための投資計画を定めていますが、新規投資やプロジェクトの入口から出口まで「PDCAサイクルを確実に回していくこと」が重要です。
つまり、積極的な事業拡大に伴うリスクを適切に把握し、それに見合ったリターンを追求するという意識を持つこと、そしてそのリスクを徹底的に管理することなど、当社グループの業務品質をさらに向上させていくことが必要です。
島崎取締役は、その課題にどのように関与される意向ですか。
これまでの総合商社における取締役の経験を生かして、主に計画(P)とチェック(C)の段階において適正・妥当な判断ができるようにサポートしていきたいと考えています。その際、“一般株主の視点”も大事にしたいと考えています。
プロフィール
1969年 4月 | 住友商事株式会社 入社 |
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1998年 6月 | 同社 取締役 |
2002年 4月 | 同社 代表取締役 常務取締役 |
2003年 1月 | 金融庁 企業会計審議会委員 |
2004年 4月 | 住友商事株式会社 代表取締役 専務執行役員 |
2005年 4月 | 同社 代表取締役 副社長執行役員 |
2008年 7月 | 社団法人日本経済団体連合会 企業会計部会長 |
2009年 1月 | 国際財務報告基準財団(IFRS財団)評議員 |
2009年 4月 | 住友商事株式会社 特別顧問 |
2010年 1月 | BNPパリバ証券株式会社 経営諮問委員会 委員(現任) |
2011年 6月 | 公益財団法人財務会計基準機構 理事 |
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2011年 6月 | 当社 社外取締役(現任) |
2011年 6月 | 日本証券業協会 公益理事 自主規制会議議長(現任) |
2013年 9月 | IFRS財団 アジア・オセアニア オフィス アドバイザー(現任) |
2013年 9月 | 日本公認会計士協会 顧問(現任) |
2014年 3月 | SBIホールディングス株式会社 経営諮問委員会 委員(現任) |
当社は自動車に関わる企業として社会とどのような関わりを築いていくべきでしょうか。
交通事故による死者数は、永年にわたる関係者の努力によって減少してきましたが、依然として年間4,000人を超える方々が交通事故によって亡くなっており、安全な交通社会の実現は、社会にとって大きな課題です。
そうしたなかで、オートバックスは日本のドライバーにとって最も親しみのあるブランドの一つです。当社グループが「交通安全」につながる活動を牽引すれば、さらにドライバーの方々の信頼を得て、ひいては企業価値の向上につながると思います。
新しく社外取締役になって、社内外からどのような役割を期待されていると思いますか。
私がこれまで警察庁などで携わってきた危機管理や公共の安全維持、そしてそのための組織の運営管理の経験を生かして、反社会的勢力排除を含むリスクマネジメントや適正な業務執行の監督に努めることが期待されていると思います。
また、もちろん一般株主の利益を保護して企業価値の向上やコーポレート・ガバナンスの充実に貢献することも重要な役割です。
プロフィール
1972年 4月 | 警察庁 入庁 |
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1982年 4月 | 在タイ日本国大使館一等書記官 |
1992年 8月 | 佐賀県警察本部長 |
1998年 4月 | 長野県警察本部長 |
1999年 8月 | 広島県警察本部長 |
2001年 9月 | 近畿管区警察局長 |
2002年 4月 | 警察庁長官官房国際部長 |
2004年 1月 | 皇宮警察本部長 |
2006年 1月 | 警察庁退官 |
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2006年 2月 | 警察職員生活協同組合 参与 |
2006年 6月 | 財団法人都市防犯研究センター専務理事 |
2008年12月 | 財団法人交通事故総合分析センター (現 公益財団法人交通事故総合分析センター)理事長 |
2014年 6月 | 当社 社外取締役(現任) |