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ガバナンス委員会 委員長インタビュー

オートバックスセブンでは、継続的なガバナンスの向上に努めてきました。
特に、「ガバナンス委員会の設置」や「独立性のある社外役員の選任」など、経営の透明性・客観性の向上、監督機能の強化を図っています。 当社のガバナンスの状況について、社外役員としてどのように評価しているのか、ガバナンス委員会の委員長に語っていただきます。

田村 達也
ガバナンス委員会 委員長(社外取締役・独立役員)
NPO法人日本コーポレート・ガバナンス・ネットワークの代表理事として、社外取締役制度の普及をはじめ、日本のコーポレート・ガバナンスの推進を行っている。
2008年6月に当社社外取締役に就任。
同年よりガバナンス委員会の委員長を務める。

就任当時、当社のコーポレート・ガバナンスについて、どのように感じていましたか。

私がオートバックスセブンの社外取締役に就任した当初、同社は転換社債型新株予約権付社債の発行に際して不適切な開示を行ったために、証券取引所に対して改善報告書を提出した直後でした。

そこでこれを十分に反省し、このことをきっかけとして、コーポレート・ガバナンスを改善・強化しようとしていました。

取締役会が経営者を監視し、必要に応じてブレーキをかける役割を果たせるような仕組みを導入すべきであり、特に、社外取締役として、株主の視線を意識した審議が行われるよう、取締役会の中で役割を果たすことが大事だと考えていました。

就任1年目では、社外取締役を2名から4名に増やし、ガバナンス委員会という取締役会の諮問委員会を設置しました。

会社の形態としては委員会設置会社という選択もありましたが、それを推し進めるよりも、自社に合った形態を選択すべきであるという考えがありました。

特に、指名と報酬の問題については、社内取締役が半数以上を占める取締役会では公正な判断が難しいのです。したがって、社外取締役を中心とした「ガバナンス委員会」を設置し、特にこの2つの問題を審議することとしました。

メンバーは社外取締役のみとしても良かったのですが、代表取締役と意思疎通を図りながら検討しなければならないので、代表取締役にもメンバーに加わってもらいました。

このガバナンス委員会は決定権限のない任意の諮問委員会ですが、オートバックスセブンの場合、ガバナンス委員会からの答申や提言を取締役会が受け入れてくれるだろうし、代表取締役も同じ考えであったので、取締役会の諮問委員会という位置付けとし、オートバックスセブンに合った仕組みとしてスタートしました。

ガバナンス委員会は、機能していると思いますか。

結果的には、監査役会設置会社と委員会設置会社の機能をあわせ持つハイブリッド型の仕組みとなりましが、非常にうまく機能していると評価しています。

当初の設置目的であった報酬と指名の問題を中心に検討しているわけですが、それ以外にも、取締役会の運営の仕方について議論をしたり、株主を重視した経営を行うために改善・強化すべき点はないかなど、コーポレート・ガバナンスの多岐にわたった議論を行っています。

当社の報酬制度についての評価を聞かせてください。

報酬の問題については、どれだけ業績と連動させるか、固定報酬と業績連動報酬の割合をどうするかなど、毎年検討を行っています。

社長執行役員が取締役会に直接上程して決定するのではなく、ガバナンス委員会での議論を経た上で社長執行役員が取締役会に提案し、決定されていることで客観性が確保できており、成果は上がっていると思います。

報酬制度における将来の検討の方向性としては、報酬をどういう指標に基づいて連動させるか、短期長期の業績や成果に対して、どのように報酬を連動させるかには検討の必要があると思っています。

また、トップとその他の役員の報酬額の差についても検討すべきでしょう。株式会社というものは、やはりトップの責任や重圧が非常に大きいので、報酬額にもその点を十分に考慮すべきであると考えます。

当社の社外取締役は、独立性を重視して選任していますが、その選任プロセスなどについて、どのように考えていますか。

オートバックスセブンの場合、社外取締役候補者を選任する際は、経営者や投資家の知り合いや取引先などを選ばず、第三者機関を利用しています。これは非常にフェアであると考えています。

現在は執行側が候補者の経歴や専門性を考慮して候補者を選択し、それをガバナンス委員会で検討していますが、今後は、ガバナンス委員会が候補者選定プロセスの初期段階から関与するなど、さらに改善できるのではないかと考えています。

社社外取締役として、当社の取締役会をどのように評価していますか。

私はこれまで複数の会社で社外取締役を経験してきましたが、オートバックスセブンの取締役会の議事の進め方は、社外取締役が参加しやすい形になっていると思います。

取締役会に上程される案件については、執行側の会議体である「経営会議」や「執行役員会議」で事前に執行側の観点から審議が尽くされており、取締役会には、社内からは出てこないような疑問や議論のみが残るような仕組みになっています。また、「経営会議」や「執行役員会議」に社外役員が出席し、その議論の過程を直接確認することもできます。したがって、これまで議論が混迷するようなこともありませんでした。

社外取締役として果たすべき役割とは、何だと考えますか。

やはり、株主の視点で経営を監視することです。

社外取締役は、これまでの経験や知識をもとに、社内の専門家とは異なる視点で、また、株主の立場で考えることが可能です。

例えば、取締役会に投資案件が上程された場合、投資する金額だけで取締役会に上程するかを決めるのではなく、既存事業なのかあるいは新規の取り組みなのかで見るべきポイントが異なってきます。そのポイントにおいて特に社外取締役の視点が重要となるのです。

当社のコーポレート・ガバナンスについて、今後の課題は何だと思いますか。

オートバックスセブンの場合、コーポレート・ガバナンスに対して、非常に真摯に取り組んでいると思います。また、代表取締役は、自身の責任や役割をよく理解しており、その役割を忠実に行っています。

今後の課題としては、次の世代の経営者をどのように育てていくかということと、社内役員が退任した後のルールの整備にあると考えます。

これらの点に関して、社外取締役として十分に議論していかなければならないと考えています。

ガバナンス委員会メンバー

委員長:
田村 達也(社外取締役・独立役員)
委員:
  • 服部 範雄(社外取締役・独立役員)
  • 島崎 憲明(社外取締役・独立役員)
  • 湧田 節夫(代表取締役)
オブザーバー:
全、社外監査役(全、独立役員)